うつ病と適応障害:その違いは?

2024年6月3日(月)

心の健康がますます重要視される現代において、うつ病と適応障害という言葉を耳にすることが増えています。うつ病と適応障害の病態や症状は非常に似ています。うつ病と適応障害の違いはどのようなものでしょうか?

うつ病は以下の症状が特徴です
* 抑うつ気分
* 興味の喪失
* 食欲や体重の変動
* 不眠、過眠
* 疲労感
* 集中力低下
* 自殺念慮

これらの症状が2週間以上毎日続く場合に診断されます。原因としては、セロトニンなどの脳内化学物質が不均衡になりやすい素因、ストレス、環境の変化などがあげられます。

適応障害は特定のストレスに対する反応として生じます。抑うつ気分など、うつ病と似た症状が見られますが、不安や心配などの不安障害のような症状もみられます。

適応障害の症状は、職場のストレス、家族とのトラブルなどのストレスにさらされてから3ヶ月以内に現れ、そのストレスがなくなると6ヶ月以内に改善します。

うつ病と適応障害の主な違いは下記の通りです。

1. 発症のきっかけ:
* うつ病は必ずしも特定のストレスが原因ではない。
* 適応障害は明確なストレスに対する反応として発症する。

2. 症状の持続期間:
* うつ病は少なくとも2週間以上毎日続き、慢性化することが多い。
* 適応障害はストレスのない日は症状が出ないことがあり、ストレスがなくなると6ヶ月以内に改善することが多い。

3. 症状の範囲と強度:
* うつ病は気分、認知、身体にわたる広範な症状を示す。
* 適応障害の症状は比較的軽度で、特定のストレスに関連した一時的な反応が多い。

適応障害はうつ病よりも軽症で治りやすいですが、適応障害の症状が長期間続き、ストレスが解消されない場合、適応障害がうつ病に移行することがあります。

実際に、適応障害と診断された人のうち、約40%が5年後にうつ病に移行していたという報告もあります。

これは、適応障害が発病してもストレスへの対処が行われなかった場合に起こりやすいです。適応障害はうつ病の入り口なのです。そのため、適応障害は早期の治療とストレス管理が重要です。

適応障害をうつ病に移行させないためには、適切な治療が欠かせません。診察を通じて、ストレスに対する適応力を高めることが効果的です。早期治療により、適応障害の進行を防ぎ、うつ病への移行を予防することができます。

もし症状に心当たりがある場合は、こころの医療の専門家に早めに相談することをお勧めします

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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