全般性不安症——「心配性だから」とあきめる前に

全般性不安症——「心配性だから」とあきめる前に

2026年7月13日(月)

診察室で、このようなお悩みを伺うことがあります。

「まだ起きてもいないことを、いつも悪い方へ考えてしまいます」

「家族のことや仕事のことが次々と気になって、不安が止まりません」

「心配しすぎだと言われるのですが、考えないようにしようとしても、どうしても考えてしまいます」

誰でも不安を感じることはあります。しかし、その不安が長く続き、日常生活に支障が出るようになっているなら、背景には「全般性不安症(GAD)」があるかもしれません。


全般性不安症とは

全般性不安症は、仕事や健康、お金、家族など、さまざまなことに対して過剰な心配が続く病気です。

特徴は、一つの心配が終わると、また別の心配が出てくることです。

・家族が事故に遭うのではないか

・仕事で大きな失敗をするのではないか

・自分が重い病気ではないか

・将来、生活に困るのではないか

このような不安が次々と浮かび、頭から離れなくなります。

その結果、眠れない、肩こりや頭痛が続く、疲れやすい、集中できない、といった心身の症状が現れることも少なくありません。


なぜ心配が止まらないのでしょうか

全般性不安症では、脳の危険を察知する仕組みが過敏になっていると考えられています。

実際には危険ではないことでも、「もし〇〇だったらどうしよう」と最悪の結果を予測し続けてしまいます。そして、不安をなくそうとして何度も考えたり、安心できる答えを探したりするほど、不安にさらに意識が向き、心配が強くなるという悪循環に陥ってしまいます。


回復のために大切なこと

治療では、SSRIなどの薬が役立つことがあります。強くなりすぎた不安を和らげることで、日常生活を送りやすくなります。

しかし、薬だけで十分ではありません。

大切なのは、「不安をなくすこと」ではなく、「不安があっても今できることに目を向けること」です。

不安を完全になくそうとするほど、不安にとらわれやすくなります。一方で、不安を抱えながらでも、仕事や家事、散歩、趣味など、今できる目の前の生活を一つずつ積み重ねていくことで、次第に不安に振り回されなくなっていきます。この日常の小さな継続こそが、回復への大切な一歩になります。


おわりに

「心配しやすいのは、自分の性格だから仕方がない」

そう思って、一人で悩み続けている方は少なくありません。しかし、全般性不安症は、適切な治療によって改善が期待できる病気です。

心配しやすい自分を、無理に変えようとしなくて大丈夫です。不安があるかどうかではなく、不安があっても少しずつ日常を続けられるようになること。それが、回復への道です。

焦らず一歩ずつ、自分のペースで前に進んでいきましょう。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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