2021年9月27日(月)
抗不安薬は文字通り不安、緊張を減らすお薬です。ベンゾジアゼピン系抗不安薬などと呼ばれています。
服用すると30-40分で効き始め、多くの場合2-3時間はその効果が持続します。
服薬によりすぐ不安が軽減するため、不安神経症の方には大きな助けとなっています。
しかし、抗不安薬の効果は多くの場合2-3時間で終わります。薬が切れるとまた不安になるので、次の薬が必要になります。
服薬する→不安の軽減→薬の効果が切れる→再度服薬するというように、服薬を繰り返すようになります。
服薬を繰り返しているうちに依存的になり、だんだん服薬量が増えていくこともあります。
また、1種類の抗不安薬だけでは効かなくなり、抗不安薬を2種類以上服用するようになることもあります。
抗不安薬は依存性があります。ですから、抗不安薬を服薬するとしても、できるだけ量を少なくすることが大切です。
この点が抗うつ薬との大きな違いです。抗うつ薬は必要な血中濃度が長期間得られなければ効果がなくなってしまうため、必要十分な量を服用することが求められるからです。
抗不安薬の量はあまり多くならないようにしましょう。ストレスが強いからといって抗不安薬を増やすと薬に依存するようになります。
特に2種類以上の抗不安薬を服用すると依存につながります。多少不安が強くなっても、できれば抗不安薬を増やさないで乗り切ることが大切です。
抗不安薬の服用をできるだけ少なくするためには、まず規則正しい日常生活を送る必要があります。日々の生活が乱れているとどうしても不安になりやすくなります。
また、不安になったときにすぐに薬を飲むのではなく、むしろ不安をありのままに受け止め、その時々に必要な行動を積極的に行っていくことも大切です。
どうしても服薬しなければならない時は仕方ないのですが、飲もうか飲むまいか迷う場面も多いはずです。このようなグレーゾーンの時はできるだけ抗不安薬を服薬しないようにしましょう。
抗不安薬を服用すれば不安になりやすい根本がなくなるわけではありません。抗不安薬は根本的な治療薬ではありません。
あくまでその場しのぎのお薬です。風邪で言えば解熱剤のようなものです。適切に使用すれば役立ちますか、使い方を誤ると薬に依存したり、病気そのものがいつまでも治らないという結果に終ります。
不安神経症の完治を目指すという意味では、セロトニンを増やす抗うつ薬を服用する方がはるかに完治に至る可能性が高いといえます。
主治医と相談しながら、抗不安薬と正しい付き合い方をしていきましょう。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏