うつ病で朝起きられないとき、どう自分と向き合うか

うつ病で朝起きられないとき、どう自分と向き合うか

2026年5月4日(月)

診察室でよく伺うお話の一つが、「うつ病になってから、朝どうしても起きられない」というものです。

目は覚めているのに、体が重くて動かない。外は明るいのに、自分だけが取り残されているように感じることもあります。

「やる気がないのではないか」と自分を責めてしまう方も少なくありませんが、決してやる気がないわけではありません。

朝のしんどさは「うつ病の症状」です

うつ病には「日内変動」という特徴があります。

脳内における神経伝達物質のバランスが乱れているため、一日の中で朝が最も調子が悪く、夕方から夜にかけて少しずつ動けるようになるためです。

「朝起きられない」のは怠けているわけではなく、うつ病の症状として起こっているものです。

ですから、自分を責めすぎないことが大切です。

診察室で提案している「30分早く起きる」の積み重ね

外来では、朝のリズムを取り戻すために、具体的なステップを提案しています。

まず、今の状態で「無理なく起きられる時間」を確認します。

たとえば、それが午前10時であれば、最初の目標は「10時より遅く起きない」ことです。

早く起きることを目標にするのではなく、まずは今できることを安定させることから始めます。

それができるようになれば、次は9時30分を目標にします。このように、30分ずつ目標を前倒ししていきます。

診察のたびにその進み具合を確認しながら、無理のない範囲で進めていきます。

中等度のうつ病でも、この方法を続けていくと、1か月ほどで8時頃に起きられるようになる方も少なくありません。そこからさらに少しずつ、最終的には7時頃に起きられる生活を目指していきます。

朝を少しだけ楽にする工夫

目標の時間に起き上がるための補助として、いくつかの工夫が役立つことがあります。

・光を取り入れる
目が覚めたら、カーテンを開けるだけでも構いません。光が入ることで、脳が覚醒しやすくなります。

・動作のハードルを下げる
最初からしっかり起きることを目標にせず、「上半身を起こす」「水を一口飲む」といった、小さな行動から始めます。

・前日の準備
朝の負担を減らすために、前日の夜のうちに、翌日の服や持ち物の準備をしておくことも有効です。

おわりに

朝起きられないときは、急に元の生活に戻そうとする必要はありません。

今できる範囲から、少しずつ生活リズムを整えていくことが大切です。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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