新型うつ病?

image12月1日 月曜日

新型うつ病という言葉をお聞きになった方も多いと思います。新型うつ病とは、従来のうつ病とは異なる現代的な症状を示すうつ病に対して、一般的に使われるようになった言葉です。

海外では、新型うつ病という言葉はありませんし、日本うつ病学会でも新型うつ病という病名は認めていません。
新型うつ病とされるのは、精神医学的には適応障害という病名にあたるものです。
適応障害はうつ病類似の症状を示しますが、うつ病と異なりうつ状態がいつでもみられるわけではありません。
例えば会社や学校など本人にとってストレスと考えられる状況ではうつ状態になりますが、自宅ではうつ状態が見られない場合があります。この場合は適応障害が疑われます。
このような症状は、周りの人から病気という認識を持ちにくいものです。
適応障害は本当に病気なのか?という疑問を持たれる方も多いと思います。実際、会社に行かないご主人が家にいると普通にしているので、本当に病気なのかと質問した奥さんがおられました。
私は適応障害は病気だと思います。患者さんは会社に行きたくてもいけないのです。行こうとしても、どうしても体が動かない。自分で自分のことがコントロールできないのです。その意味で適応障害の本質は、「自己コントロール障害」だと思います。
学生時代に病気とは多くの人に症状がみられるものと教わりました。その意味では、適応障害の患者さんには多くの共通点があります。また、適切な治療的アプローチにより回復し得る状態です。
病気じゃないと言うと治療がなくなります。簡単に病気ではないという前に少しでも患者さんを理解したいと思います。
次回は、これまでの診療経験をもとに適応障害についてもう少し詳しく書きたいと思います。興味のある方は、楽しみにして下さい。

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