うつ病と過食

うつ病では食欲低下による体重減少が認められ、精神科診断学では食欲低下による体重減少はうつ病の特徴的な症状とされています。しかしながら、最近のうつ病では過食がしばしば認められます。

過食があればうつ病ではないのかというとそのようなことはありません。米国精神医学会や世界保健機関(WHO) による国際的な診断基準でも、過食があるからといってうつ病ではないとは言っていません。

うつ病の過食は、イライラや衝動性と結びついていることが多いです。また女性に多く、甘いものを欲しがる傾向が強いです。心が満たされずイライラするため食べることにより心を満たそうとするのです。心が満たされないのは、今の自分とこうありたい理想の自分との間にギャップがあるからです。こうしたギャップを今すぐにでも埋めてしまいたいという性急な衝動が過食へと走らせます。

過食はイライラ、衝動性などの結果起きている現象ですから、過食そのものに焦点を当てても過食は止まりません。むしろ過食の原因である満たされない心と向き合うべきなのです。日常生活のありようとして、規則正しい生活をすること。心のキャプはあわてず少しずつ埋めていくようにすることが大切です。

院長 高橋道宏

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