抗うつ薬を飲み忘れたら

2022年12月12日(月)

うつ病の治療では、長期間に渡り抗うつ薬を服用することがあります。

服薬の目的は、症状の安定のためと再発を予防するためです。再発予防では6ヶ月程度の服薬が必要です。

 

しかし、症状が安定してくると、ついつい薬を飲み忘れることがあります。

 

うっかり薬を飲み忘れた。でも、特に問題はなかった。きっともう治ったのだろう。

このように考えて薬をやめてしまう方もおられます。本当にこれで大丈夫なのでしょうか?

 

診察のたびに前回処方した薬が余っていることがあります。前回受診は1ヶ月前でしたが、薬が2週間分余っている。

2週間分の薬があれば大丈夫とお話になる方もおられます。つまり4週間で2週間分の薬しか服用していないのです。

このような服薬で大丈夫なのでしょうか?

 

抗うつ薬は、効果が出るまで2-3週間を要するため、服薬を中止したとしても、急に効果がなくなるわけではありません。服薬中止後1週間程度は効果が持続します。

しかし、処方された薬の飲み忘れたが多くなると、症状悪化、再発などの心配がでてきます。

一般に服薬率が90%以下になると、予想された効果が期待しにくくなります。

 

では、薬を飲み忘れた時はどうしたら良いのでしようか?

 

多くの抗うつ薬は、食後に服薬するように処方されています。

抗うつ薬を飲み忘れたら、必ずしも食後ではなくても大丈夫なものもありますから、気がついたらその時点で服薬するのも一つの方法です。

 

薬によっては、夕食後の薬の服薬が寝る前になってしまっても大丈夫です。翌朝飲んでも大丈夫なものもあります。

処方された薬により異なりますので、事前に主治医に飲み忘れた時の対応を相談しておくようにしましょう。

 

薬をやめて再発し、また服薬を繰り返しているといつまでも治療を終了することができません。

薬が必要な時期にしっかり服薬することが、症状改善と治療終了への近道です。

 

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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