強迫性障害克服への一歩:薬物治療と行動のコントロール

2023年12月4日(月)

強迫性障害では、「手が汚れているのではないか」「家の鍵を閉めたか気になる」など、特定のことに対する強い不安や恐怖感(強迫観念)が現れます。

このような不安から「手を何十回も洗う」「自宅に戻って施錠を確認する」などの反復行動(強迫行為)も見受けられます。

強迫観念に基づく強迫行為により、過剰な時間が費やされ、結果として時間に遅れたり、他の必要な行動が妨げられたりするなど、日常生活に支障が生じます。

強迫性障害の方は、自らの行動が不合理であることを自覚しており、「自分はおかしい」「周囲に変だと思われる」という恐怖が生じ、行動範囲が制限されてしまいます。

抗うつ薬や抗不安薬は、強迫性障害の症状の緩和に有効です。特に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は神経伝達物質の調整によって効果を発揮します。

SSRIの効果はゆっくり現れ、効果を多少実感するまでに2-3週間かかりますが、8週間後には最大の短期的な効果が期待でき、その後も緩やかな改善が続きます。SSRIは毎日忘れずに服薬することで良い効果が得られます。

抗不安薬は依存性があるため、補助的に使用し、依存を避けるためにはできるだけ毎日の服薬を避け、必要に応じて服薬するよう心がけましょう。

薬が効いてきたら、強迫観念に基づく強迫行為をコントロールすることが重要です。強迫観念は主観的な不安に基づくものであり、その時々に必要なことを優先するようにしましょう。

薬の効果と行動様式のコントロールを組み合わせることで、強迫性障害の症状を乗り越えることができます。

何年も治らないと悲観する方もいらっしゃるかもしれませんが、治療過程のどこかにボタンの掛け違いかあったかもしれません。強迫性障害は克服可能なこころの病気なのです。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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