アルコール依存症——「やめようと思えばやめられる」は本当でしょうか?
2026年8月10日(月)
お盆休みが近づき、家族や友人と食事をしたり、お酒を飲んだりする機会が増える時期です。
診察室では、このようなお話を伺うことがあります。
「毎日飲んでいますが、仕事には行けているので大丈夫だと思います」
「今日は飲まないでおこうと思っても、夜になると飲んでしまいます」
「眠れないので、寝る前にお酒を飲むようになりました」
お酒は私たちの生活の身近なところにあります。
しかし、アルコールは依存性のある物質です。
飲酒を繰り返しているうちに、飲む量を減らせない、やめようと思ってもやめられない状態になっていくことがあります。それがアルコール依存症です。
アルコールは依存性のある物質です
アルコール依存症というと、「本人の意志が弱い」「本気になればやめられる」と思われることがあります。
しかし、そうではありません。
アルコールそのものに依存性があります。
飲酒を繰り返すことで、脳は少しずつアルコールのある状態に慣れていきます。
そして、
・飲まないと落ち着かない
・飲み始めると止めにくい
・以前より飲む量が増えている
・今日は飲まないと決めても飲んでしまう
といったことが起こるようになります。
「一杯だけ」のつもりが、いつもの量まで飲んでしまうこともあります。
これは単なる意志の問題ではありません。
アルコールという依存性のある物質によって、飲酒を自分でコントロールすることが難しくなっているのです。
仕事をしていれば大丈夫とは限りません
「毎日仕事には行いているから、自分は依存症ではない」
そう考える方も少なくありません。
しかし、仕事を続けているかどうかだけで判断することはできません。
飲酒量が増えている、休肝日を作ろうとしても続かない、家族から飲酒について注意される、飲酒した翌日に仕事や家事へ影響が出る、眠るために毎晩お酒を飲んでいる。
このような状態が続いているのであれば、一度飲酒との付き合い方を見直す必要があります。
また、アルコールが切れてくると、イライラ、不眠、手の震え、発汗、動悸などが現れ、それを抑えるためにまた飲んでしまうこともあります。
専門的な治療が必要になることがあります
アルコール依存症は、「本人がしっかりすれば治る」という病気ではありません。
依存性のある物質が脳や身体に影響しているため、自分一人の努力だけではやめることが難しくなることがあります。
「もう飲まない」と何度も決心して、それでも飲んでしまう。
そのたびに、「自分は意志が弱い」と責めてしまう方も少なくありません。
しかし、大切なのは自分を責めることではありません。
アルコール依存症は治療が必要な病気なのです。
飲酒の状態によっては、自己判断で急にお酒をやめることが危険な場合もあります。そのため、身体の状態を確認しながら、専門的に治療を進める必要があります。
治療では、必要に応じて薬を使ったり、飲酒につながる生活習慣やストレスについて一緒に考えたりしながら、お酒に振り回されない生活を取り戻していきます。
ご家族だけで何とかしようとせず、医療機関や専門の相談機関につなげることも大切です。
おわりに
「自分はその気になればいつでもやめられる」
そう思っていても、何度も同じ飲酒を繰り返しているのであれば、一度立ち止まって考えてみることが大切です。
アルコール依存症は、意志が弱い人がなる病気ではありません。
アルコールそのものが依存性のある物質であり、やめようと思ってもやめられなくなることがあるのです。
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だからこそ、自分一人で何とかしようとせず、必要なときには専門的な治療を受けることが大切です。
アルコール依存症は、適切な治療によって回復が期待できる病気です。
一人で抱え込まず、早めに医療機関へ相談することを検討してみてください。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏


